■空家の現状と課題 〜空家実態調査・空家所有者意向調査から

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    主 旨

     中心市街地には多数の空家がみられ現在も増加しつつあります。空家は放置されればやがて廃墟となり周囲の景観を壊すだけではなく、倒壊・不審火などの危 険も出てきます。一方、早めに利用すれば、まちの景観にもなじんでおり、落ち着いた住まいとして立派に活用できるものが多くあると思われます。

     ここで紹介した2つの調査は、2010(平成22)〜2011(平成23)年度、米子市委託の「まちなかすまいるデータバンク」事業として実施したものです。

    その目的は、本調査を通して、中心市街地内の戸建および長屋の空家のうち利用可能なものを、所有者の了解を得て中古住宅として「よなごかえる通信WEB」 にて情報発信し、(合わせて民間不動産会社の仲介物件についてもご協力を得て情報発信し)中心市街地の居住人口増に結びつけることです。

    (1)米子市中心市街地における空家実態調査から

     平成22〜23年度に外観を中心に実施した調査では、米子市の中心市街地内で把握できた空家総数317件の内、半数近く(約47%)は屋根・外壁・柱・土 台などの構造体に損傷があり住宅としての使用が難しい建物であることが分かりました。その中にはかなりの数の廃屋も含まれています。残りの空家について も、もし今後利用されずに放置されたら急速に劣化すると思われ、何らかの活用や管理の方策が必要とされています。



    ▲中心市街地のあちこちでみられる廃屋

    (2)空家所有者意向調査結果から

     前項で把握された「屋根・外壁・柱・土台などの構造体に全くかほとんど損傷がない」空家、即ち物理的損傷状況からみて今後住宅として活用可能な空家167戸について、委託元である米子市の協力を得て住所が把握できた所有者(またはその代表者)111人に対して、「空家の実態と所有者の方の利用意向アンケート調査」を実施しました。
     調査は平成23年11月と平成24年2月の2回に分けて郵送により配付回収を行った。回収票の内「有効配付数」92票、それに対して「有効回答数」32票(回答なし56票、無効票、白紙票各2票)で、有効回答率は35%でした。主な調査項目は、所有者属性、建物属性、建物利用・管理状況、建物の今後の利用・管理の予定や意向などです。
     以下、主な項目について集計結果を紹介します。

    ・空家所有者の属性

     空家所有者の56%が米子市内に住み、38%が県外に住んでいる。(グラフ1)また年齢は、70才代以上が半数を占め、60才代以上の合計では75%を占め、今後所有者の高齢化がさらに進むと思われる。(グラフ2)


    ▲グラフ1 所有者の住所エリア

    ▲グラフ2 所有者の年齢

    ・建物の状態

     古いものが多い。例えば、1945年頃以前、即ち戦前に建築された築70年程度以上の空家が56%と過半数を占めている。(グラフ3)また老朽度については、構造体が「かなり傷んでいる」が34%などと、損傷が進行しつつあるといえる。(グラフ4)
    ▲グラフ3 建築時期

    ▲グラフ4 屋根・壁・床の構造体の老朽度


    ・空家になった経緯、空家になってから

     空家になる前の利用方法は「家族・親族の住まい」が約60%、貸家が約30%であった。また空家になったきっかけについては、「居住者の死亡・引っ越し」が約80%と多い。(グラフ5)以上のことから、子供世代が別の場所で独立し、長年暮らしてきた親世代が亡くなったり引っ越したあと、空家のままになったケースがほとんどだと考えらる。「空家のままにしてきた理由」(グラフ6)がそのことを物語っている。またこれらの理由が、同時に空家の活用が進まない理由にもなっているといえる。


    ▲グラフ5 空家になったきっかけ


    ▲グラフ6 空家のままにしてきた理由(複数回答)

    ・空家の使用状況と維持管理状況、点検管理サービスへの関心
     
     最近1年間の使用状況についてみると、「全く使っていない」が56%と過半数を占める。しかし一方、「年に5回以内」「それ以上使っている」を合わせると44%みられ、何らかの形で使われている空家もかなりの数みられる。(グラフ7)

     また、最近1年間の維持管理状況についてみれば、「全く何もしていない」が34%で、それ以外は何らかの維持管理行為がみられる。(グラフ8)この使用状況と維持管理状況との間には関連がみられ(グラフ9)、何らかの形で使われている空家の方がいい状態を保っている可能性が高いといえる。

     また「点検管理サービスへの関心」についても、年に何回か使っている空家の所有者は、「点検管理サービスへの関心」や実績の程度が高くなっている。(グラフ10)


    ▲グラフ7 最近1年間の使用状況


    ▲グラフ8 最近1年間の維持管理状況


    ▲グラフ9 最近1年間の使用状況×最近1年間の維持管理状況


    ▲グラフ10 最近1年間の使用状況×点検管理サービスへの関心

    ・空家活用についての意向

     空家になってからの経過年数では、「5年未満」のものが最多であることから、現在も空家は増加しつつあることがわかる。(グラフ11)
     「土地・建物の今後の方向性」については、「当分空家のまま」「未定」など空家状態が続きそうなものが半数を占める。一方、「売りたい」「貸したい」等の何らかの対処意向がみられるものは合計41%であった。(グラフ12)これを「空家になってからの経過年数」との関係でみれば、空家になってから10年以内の空家(62%)において、「売りたい」等の何らかの対処意向が強いとみられる。(グラフ13)また、「売りたい」等の何らかの対処意向のある所有者のうち、60%近くが「よなご・かえる通信WEB」に「掲載したい・条件次第で考える」と回答している。
     「改修工事への助成の必要性」については、意向が不明確な回答が多い。これは、空家の多くで損傷が進んでいる状況や、今後の利用予定が不明確な空家が多いことなどを反映しているものと思われる。(グラフ14)


    ▲グラフ11 空家になってからの経過年数


    ▲グラフ12 土地・建物の今後の方向性


    ▲グラフ13 空家になってからの経過年数×土地・建物の今後の方向性


    ▲グラフ14 改修工事への助成の必要性
     
    まとめ:今後の空家活用の課題

    <空家所有者の属性からみて>

     空家所有者の56%が米子市内に住み、38%が県外に住んでいます。今後所有者の高齢化がさらに進むと思われます。空家活用のための働きかけが急がれる状況にあるといえます。

    <建物の状態からみて>


     古いものが多いです。構造体が「かなり傷んでいる」という回答が34%と、損傷が進行しつつあるといえます。「空家のままにしてきた理由」の2番目に「老朽化が進んでいるから」があげられており、損傷が進行すると活用も難しくなります。使われない空家は急速に劣化が進みます。この点からも空家活用や空家点検管理サービスの取り組みが急がれます。

    <空家になった経緯と理由からみて>


     子供世代が別の場所で独立し、長年暮らして来た親世代が亡くなったり引っ越したあと空家のままになったケースがほとんどだと考えられます。「空家のままにしてきた理由」がそのことを物語っています。またこれらの理由が、同時に空家の活用が進まない理由にもなっているといえます。「家財道具・仏壇があるから」、「時々使用しているから」、「先祖からの住まいで手放せない」などの理由となっています。外部からの働きかけなど、活用のきっかけがあれば違ってくると思われます。

    <空家の使用状況と維持管理状況・点検管理サービスへの関心の程度からみて>

     最近1年間の使用状況についてみると、「全く使っていない」が56%と過半数を占めています。しかし一方、何らかの形で使われている空家もかなりの数みられます。そのような使われている空家では、何らかの維持管理行為がみられるため、建物がよりよい状態を保っている可能性が高いといえます。

    <所有者の空家活用意向からみて>


     現在も空家は増加しつつあることがわかりました。
    「土地・建物の今後の方向性」について、「売りたい」「貸したい」等の何らかの対処意向がみられる所有者の方は合計41%でした。空家になってから10年以内の空家(62%)において、「売りたい」等の何らかの対処意向が強いとみられます。

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