■共同建替え構想と事業モデルの提案

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    〜老朽空家や空地を活用し、共同建替えしませんか!?

     本提案は2010(平成22)年度、米子市から委託を受けた「まちなかすまいるデータバンク事業」の一環として実施したものです。

    (1)「共同建替え」の意義、公的支援制度の紹介

     まちなかでは空家が増加しかつそれらの老朽化が進んでいますが、新たな住宅や土地利用への転換が進まない地区が多くみられます。その背景の一つに、細長 い、狭いなどの敷地の形状や規模、接道条件の悪さなど、まちなか特有の空間的要因があります。ここで提案する「共同建替え」という建築事業手法は、隣接す る複数敷地を用いて共同で一体的に建替えることにより、まちなかの敷地が持つ制約条件を取り払い、共用設備の設置効率が上がるなど、個別敷地での建替えで は得られないさまざまなメリットと、より自由な設計を可能にするものです。

    「共同建替え」に関する国の制度の概要

     ※この「共同建替え」に関する制度は、国の「優良建築物等整備事業制度」の中の一つで「共同化タイプ」と呼ばれているものを活用して行うものです。

    <補助内容>
    ・調査設計計画費(事業計画・地盤調査・建築設計)
    ・土地整備費(建物除却・補償費)
    ・共同施設整備費(空地・供給処理施設・共同施設等の整備費)
     以上の経費に対して2/3の補助(国1/3、地方公共団体1/3)

    <主な補助要件>
    ・2人以上の地権者による共同化であること
    ・用地面積1,000 m2以上(中心市街地の場合 500m2以上)
    ・用地全体として幅員6m以上の道路に接道
    ・3階建て以上の耐火建築物又は準耐火建築物
    ・1住戸50m2以上、2室以上の居住室を持ち、バス・トイレ・キッチン等付き

    (2)「共同建替え」の建築空間モデルの提案

     平成22年度に、米子市のまちなかの古くからの住宅地の中の複数敷地を想定して、複数地権者の共同建替えによる、現居住世帯住宅と新たな単身入居世帯のための共同住宅(アパート形式)と、単身世帯のためのシェアハウスが組み込まれた共同住宅(アパート形式)のモデル的提案を作成しました。まず建築空間モデルについて紹介します。

    ■地域に拠り所を持つ「共同建替え」集合住宅の意義

    ・マンションのように高層化せずに3階建てにとどめることによって、既存の居住環境や景観を壊さず調和させることが出来る。
    ・シェアハウスやグループリビングなどの新しいタイプの共同居住の住まいの実現も可能
    ・地域外から新しい入居者を迎え地域人口の増加につながる
    ・現在地で住み続けたい地権者の方や近所の高齢者も住み替えられるバリアフリー住宅の実現
    ・まちなかの親世帯の近くで子供世帯が近居できるファミリー向け住宅の実現
    ・地権者の方や入居予定者自らが住まいづくりに参加して、好みの住まいや共用スペースの実現が可能

    共同建替え構想A
    「町家型集住体/積層集合住宅」
    〜現居住世帯と新たな単身入居世帯のための共同住宅


    ■敷地環境
     米子市内の歴史的景観が残っている中心市街地内の伝統的町家が並ぶ地域で、敷地形状はこの地域に一般的な南北に長い短冊形です。南方向には、湊山山頂(城跡)が見えます。

    ■構想概要
     この計画による敷地は、間口約4.5m、奥行41mの南北二接道の土地が3区画連続した敷地を想定しています。現居住者のための住戸に加えて、新たな居住者のための分譲・賃貸用住戸を含めた共同住宅を提案します。

    ■計画理念
     従来この地域は、「私」空間としての「いえ」と「公」空間としての「みち」が直接繋がり、「みち」を介して結びついた各戸の「いえ」(住民)が集まって、「まち」(地域)を構成していました。
     一般的な集合住宅の空間構成では、各住戸は共用廊下・階段などの共用空間を介してのみ、僅かに「公」空間と繋がっていて、結果的に「いえ」(住戸)は地域社会に対して閉鎖的になり、それゆえ各住戸は孤立化し、居住者間や地域とのコミュニケーションは希薄になっています。「いえ」と「みち」や「まち」つまり、「私」空間と「公」空間の関係性を見直して、「いえ」と「まち」(地域)を繋いでいくことが必要です。

    本提案では、次の項目について検討しました。
    ・都市居住を考える
    ・地域との繋がりを考える
    ・町家の空間構成を継承し、歴史的環境や自然環境に調和する建築
    ・現代の住生活を充足する
    ・車と歩行者との共存に対応する

    ▼基本構想


    ▼平面プラン



    ▼立面プラン/建物概要


    ▼パース図

    ▼模型写真



    共同建替え構想B
    「町家型集住体/シェアード・ハウジング」
    〜単身世帯のためのシェアハウスが組み込まれた共同住宅


    ■敷地環境
     共同建替え構想Aに同じ。

    ■構想概要
     敷地条件も共同建替え構想Aに同じ。
     この地域における新たな居住者に対応する、賃貸用の集合住宅(シェアード・ハウジング)を提案しました。

    ■計画理念
     共同建替え構想Aに同じ。
     ・地域との繋がりを考える
     ・町家の空間構成を継承し、歴史的環境や自然環境に調和する建築

    ▼平面プラン

    ▼建物概要



    (3)「共同建替え」の事業モデルの提案

    1.前提となるモデル敷地の敷地条件・不動産評価条件等の設定

     共同建替え資金計画シミュレーションのための敷地設定を「共同建替え構想のための敷地設定(PDF)」に示した。 
     これを踏まえて、対象3タイプ別の各敷地の較差率を算定し「較差率算定表(PDF)」に示した。


    2.共同建替構想における各種試算
    【共同建替構想における各種試算の前提条件の設定】


     はじめに、試算を行うにあたって、所有関係からみた共同建替の方式について説明したい。
      まず、建て替えによって完成した建物が各々独立した1戸 建て建物である場合は、単純に土地の交換分合によって各々の所有地を再分割し、その上に各々が独立して建物を建てるか、もしくは互いに借地権と賃料を設定 する方法がある。しかしこの方式は、今回の共同建替構想の試算では採用しない。

     一方、完成後の建物が独立した建物ではなくマンションなどのように1棟建て共同住宅等の建物となる場合は、互いに居住用定期借地契約等を締結して利用する方法の他、区分所有建物として次のような法則に基づく所有権形態をとる方法がある。

    1)区分所有建物の土地の持分比率は建物の持分比率に比例する。
    2)区分所有建物の持分比率は出資金額に比例する。
    3)完成後、土地は持分比率による共有名義、建物は区分所有となる。

     本試算では、主に区分所有建物として、それぞれが異なるニーズを有する場合の資産分配方法や、賃貸等の収支試算を行う。

    【各土地ABCの所有者をそれぞれA さん、Bさん、Cさんとし、それぞれの居住ニーズと出資条件を次のように設定した場合】

     共同建替による試算を行う上で、各土地ABCの所有者をそれぞれA さん、Bさん、Cさんとし、それぞれのニーズを次のように設定する。

    1. Aさんは、独居老人で今後も居住する。Bさんは、夫婦世帯で、今後も居住する。Cさんは、他に住居があり、賃貸のみを行う。
    2.土地の出資分については、鑑定評価をもとに出資比率の算定が可能であるが、建物の出資分については、各世帯で異なる事情とニーズが存在するが、それを次のように設定する。
      Aさんは、土地は出すがお金は出来る限り出したくない。また貯蓄はあるが高齢で住宅ローンなどが取り組みにくい。
      Bさんは、住宅ローンを使って自宅部分を所有し、かつ賃貸住宅も所有したいと考えており、条件的にもそれが可能である。
      Cさんは、ビルアパートローンを使用して、賃貸住宅を所有したいと考えている。
     ※上記においてCさんが法人であった場合でも、後の試算に大きな影響は無い。

     以上のような条件を元に、花園町、天神町、尾高町の各設定地ごとの所要資金の割振りは、別紙「共同建替え構想案 所要資金割振り試算表(PDF)」に掲げる通りである。

    ---考え方は、土地建物の価格合計を資産合計とし、各区分所有者の区分所有面積による比で全体的所要資金を割り出し、そこから自己の供出した土地分を控除して差引所要資金額を求めるという方法である。

     次にABC 各自のニーズに応じた、資金計画を花園町のケースを例として「各地主資金計画書(PDF)」(同前)を作成し、更に、Cさんの場合の賃貸住宅経営の収支予想を「Cさんの賃貸マンション経営事業概要書(PDF)」(同前)で設定した条件内容に従って、「Cさんの賃貸マンション収支計画書(PDF)」(3ページ分)(同前)としてまとめた。

    ここで花園のケースを例にとると、

      Aさんの出資分とはもともと保有していた土地のみであり、得るものは新しい土地建物の持分と言う事になります。同様に、Bさんの出資分とは、もともと保有 していた土地と住宅ローンよる出資金の合計が、イコール新しい土地建物の持分となります。このように、もともと保有していた土地を鑑定評価により金額算定 し、それに現金や銀行融資などで出資した金銭的出資を合計したもの(出資分)と、新しい建物と、その建物に供した敷地の総価値に対する共有持分の割合を常 に等しくする事によって、共同建替えの際の各自に不平等が起きないようにして行く事になります。

    【マンションデベロッパーなどが事業に参加し、各所有者さんが必要とされる以外の部分を分譲する計画の場合】

     これ以外に、マンションデベロッパーなどが事業に参加し、各所有者さんの必要とされる以外の部分を分譲すると言う計画も想定可能である。
    その場合の試算について、まず上記の花園町の場合を例にし、かつAさんBさんのニーズと条件は変わらないものと設定して「分譲販売における収支計算書(PDF)」(同前)を作成した。

    ---共同建替にあたって、土地所有者がすでに県外に居住しているケースや、他に住居を保有しており、共同建替に参加するよりは、売却を希望される場合において事業者が参加する事は十分に想像する事ができる。むしろ都市部においては、分譲マンションがこのようなケースで構想される場合が多く見受けられる。

    【試算に関連した留意点】

     本試算においては税務を特に考慮していない。
     土地の交換分合にあたっては、「法律の規定に基づかない区画形質の変更に伴う土地の交換分合(所基通33-6 の6)」に該当しない場合は、相互売買とみなされます。また立体的な等価交換においては、「宅地の立体化手続の特則(第90 条)」に該当すれば課税が繰り延べられ実質的に等価交換に等しくなるが、原則的に、土地と建物の等価交換は「買い換え」とみなされます。

      ただし「買い換え」とみなされても、上記に記載したAさんBさんのように、現に当該地に居住しており、かつ金額が本試算例に掲げるような金額であれば「譲 渡所得税の専用住宅控除」により譲渡所得税は発生しないと思われ、一応そのような背景を基にCさんが多くを取得する方向で試算している事をご理解頂きたい。
     いずれにせよ実際に共同建替を構想する場合においては、税務の詳細について税理士等、専門家に相談の上、十分に注意して頂きたい。


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